« 県主催の地域医療シンポウム   NO.597 | メイン | 名張曽爾線 通行止め解除へ NO.599 »

2008年12月14日

浸透力    NO.598

adati.jpg

 地域医療シンポジウム「みんなでささえよう 地域の医療」に行ってきました。講師の足立先生のお話は、大変勉強になりました。下に、ワタシなりにまとめた要旨を。

 平成19年の春、医師の引き上げや過重労働等で、小児科医がいなくなる危機を迎えた兵庫県立柏原(かいばら)病院の地元では、丹波新聞社の記者であった足立さんが呼びかける座談会に、知り合いのお母さんがたが集結。「子どもがお世話になった小児科の先生は、夜も眠らずに働き続けていた」「こんな状態が続くのであれば辞めたいという先生を止められない気持ちになる」「これ以上がんばってとはとても言えない」という、一人のお母さんの体験談から、「コンビニ的受診をみんなで慎み、医師の過重労働を軽減させる」その上で、「小児科医の派遣を求める」という署名運動を起こすことに。

 署名運動は、すぐに結果に直結はしなかったものの、その後、地域や病院、行政を巻き込んで、コンビニ的受診を控えることを実現していく運動に取り組む。自主制作のステッカー(例:子どもを守ろう・お医者さんを守ろう)や冊子(例:病院に行く、その前に→チャート式のチェックシート)等のツールを駆使し、家で出来ることや、かかりつけ医に診てもらう運動を通して、小児科勤務医の過重労働の軽減を目指した。その結果、勤務医の時間外労働が減り、また、来院患者も、軽症の割合が減って、重傷の割合が増加する(入院率が高くなった)という成果を現実のものとして産みだした。

また、「ありがとうカード」や「ありがとうポスト」を設置し、感謝のメッセージ(お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう)を患者から先生に届くような工夫も。おしゃべりを通じて地域医療のことを知ってもらおうと、「ママのおしゃべり救急箱」といった勉強会も始めている。こうした中で、勤務医のモチベーションも高まり、今は、0人になる危機から脱し、逆に、5人にまで増加をした。「地域医療を守るのは、一人ひとりの心がけ」と話される。

加えて、足立先生からは、「医療が本来持つ不確実性に関する医療者と受診者との認識の違い」の大きさについての警鐘があった。受診者側の過剰なまでの医療事故への反応が、産科や小児科の医師不足に拍車をかけていると(医学の進歩や医療現場の努力で医療事故はかなり低い確率まで下がってきている。その数字は、受診者側からみれば、だからこそあってはならない数字であり、医療者側からみれば、十分ありうる数字になっているという矛盾)。

質疑のやり取りの中では、守る会が成果をだせたのは、住民自らが立ち上がって取り組んだからで、行政から、やらされたのであればダメだったのでは。官から、配られた冊子であれば誰も見ようとしないと。

ワタシ的には、そのあたりに、守る会の地域住民への浸透力を見たような気がしました。 以上。
 

投稿者 boss_blog : 2008年12月14日 17:40

コメント

コメントしてください




保存しますか?