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2008年12月27日
こんな時しかできないこと NO.604
こんな時しかできないこと。年末年始の緩やかなスケジュールを当て込んで、書類の整理や積み残し案件の整理、その上、自宅や事務所の掃除と考えると、結局、全然時間が足らないことにおもいいたり、いっそうのこと、思いっきり遊んでやろうかと、考えてしまう今日このごろ。皆さんは、どう過ごしてますか。もちろん、職業柄フル回転の方もあろうかと思いますが。
さて、先般から、NHKスペシャルで、「医療再建」というテーマで放送がありました。ご覧になられた方も多かったのではないでしょうか。ホントよく調査の行き届いた企画で、感心しました(さすがNHK)。特に、ドイツやイギリスの事例は、今後の日本の医療の在り方に重要な示唆を与えてくれたと思います。
ドイツでは、開業するには別途専門医の資格取得が必要で、同時に、開業場所も開業医団体から認可を受ける形になっています。医師需要計画なるものが存在し、全国を400の地域に分け、各々定員を定めています。定員を1割超えると、その地域では開業することができません。こうしたシステムによって、ドイツでは、医師の偏在が起こらないように配慮されています。
日本では、どこでも自由に開業が可能で、また、診療科も自由に標榜できますから、なんと制約の多い国かということになるかも知れません。しかし、住民の健康を守るには、こうした計画が欠かせないと言います。また、開業医は、夜間の救急や休日診療への参加が義務付けられているそうです。はじめは、希望の地域で開業できない不満をもちながらも、開業が許された地域で、住民から信頼される家庭医として活動している一人の医師の姿が印象的でした。
イギリスでは、日本と同じように10年前、医療崩壊が起きていました。20年間、医師数を抑制してきたこともあって、医師不足に陥り、何時間も患者を待たせるような医療現場になっていました。2000年にブレア首相が改革に取り組み、医師数を大幅に増員。同時に、地区割りをして各々に戦略保健局を設置し、適正配置を図りました。エリア内の診療科目や医師数を調査し、10年先まで医師や診療科が偏在しないように、調整を行います。退職や休職のデータも確認し、人員不足率を把握。データに従って、大学の定員まで見直し、専門医学会が必要な専門医数も調整します。専門医学会は、医師の勤務先も決定、若手の医師は5年間、各地の病院を回るように義務付けられていると言います。
いずれの国も、医療は国のサービス、どの地域でも一定の水準の医療が受けられるべきで、必要なところに必要な医師が配置される、そのためには、計画的な医師の配置は不可欠であり、国民に対する責任だというメッセージが述べられていました。日本も、ようやく、医師数の増や社会保障費の増が図られる方向になりましたが、肝心の医師の偏在の解消まではシステム化されていません。イギリス式の取り組みに挑戦している奈良県の取り組みが紹介されていましたが、日本においては、なかなか容易ではない感がしました。番組の最後に、医師や医療の公共性が問われているという意見に、もっともとうなずいてしまいました。
投稿者 boss_blog : 2008年12月27日 23:19
コメント
いつもご苦労様です。
以下のブログが参考になると思います。
「NHKスペシャルは、医療再建に貢献したか?」
http://hello.ap.teacup.com/applet/sodateru/archive?b=10
投稿者 平井 愛山 : 2009年01月09日 14:01
平井先生、お忙しい中、貴重な情報、誠にありがとうございます。番組に出演された方のみならず、医療に従事し、地域医療の問題に正面から取り組んでいただいている皆さんから、番組に対する批判的なご意見が数多く出されている(ブログ等で)ことに驚きました。医療の問題は、住民レベルではわからないことの方が多く、安易な答えの出し方に危うさがあることをあらためて考えさせられました。今一度、番組を別の角度から見てみようと思っております。唯一、言えることは、誰かが悪いと非難していくことではなく(ただ、国の無策はいかがかと思いますが)、正しく、そして十分な情報を共有する中で、患者も医療従事者も行政も、正面から向き合って、それぞれが果たすべき役割を求めていくことができればと思います。まだまだ、勉強途上です。ありがとうございました。
投稿者 ひろゆき : 2009年01月09日 15:44